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定住者の更新の複雑なケースの紹介
「定住者」という名前の在留資格(ビザ)があります。当事務所でも申請の数が多い在留資格です。
この定住者という在留資格は「他の資格に該当しないが、法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」というものです。
何かしらの日本に住む理由があるため、法務大臣が「日本に住んでもいいよ」と認められた人達のための在留資格です。
この定住者には、告示定住と告示外定住という区分がありますが、今回、告示定住から変更のあったお客様のケースを扱いましたので、参考として紹介したいと思います。
フィリピン国籍で、定住者の配偶者として在留する母と、定住者の子として在留するお子さんの在留資格の更新です。母は定住者を持っている夫と別居をしており、在留資格は母子共に6月でした。
ヒアリングの末、母は、告示定住「五号のロ」、お子さんは告示定住「六号のハ」である事を確認しました。
フィリピン人の夫と別居を始めた理由はDVだそうで、母子共に逃げたそうです。母は夫と婚姻生活がなくなり在留資格が6月を与えられ、何度か更新を繰り返していました。
ここで、もう一度どのような在留資格なのかを見ます。
告示定住「五号のロ」日系3世ではない定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者だけど、今現在夫と同居していない。
告示定住「六号のハ」 日系3世ではない定住者の在留資格をもって在留する者の扶養を受けて生活する当該者の未成年で未婚の実子だけど、今現在父の扶養を受けて生活していない。
在留資格と乖離が発生しています。つまり、ビザの種類と実際の行動にズレがあります。
弊所で書類を作成し、更新の申請を行いました。しばらくすると入国管理局より連絡があり、母子はインタビューを受けました。
インタビューの中身をお聞きしたところ、
DVについて、どのような身体的や精神的な虐待を受けたか
別居を開始した具体的な日付
夫婦関係について
子供は誰が養育しているのか
子供の学校について など
とのことでした。
そして前記の在留資格に当てはまらないと判断され、その後、慎重な審査の結果、定住者の在留資格が1年で更新されました。1年で更新されたという事は、告示定住から告示外定住になったということです。(つまり、定住者の在留資格の中で移動があったということです)
告示外定住者で一般的なものは
・日本人の子を養育する母
・日本人または永住者との離婚定住
・日本人または永住者との婚姻生活破綻定住
・日本人または永住者との配偶者死亡定住 があります。
今回のケースでは、定住者との婚姻生活破綻(注意:フィリピン人同士の結婚は離婚という法制度がありません)なため、上記にはあてはまりません。また、お子さんを養育していますが、日本人の子ではないため、やはり上記にあてはまりません。
ですから、状況を個別に審査され、「特別な事情を考慮して在留を認める事が適当である」と判断されたのだと思います。
それではこの親子の特別な事情とは何でしょうか。
それは母子の日本滞在歴にありました。
母子は5年ほど前に日本へ上陸し、夫を含めた家族として日本で生活していました。その後夫の暴力により、別居を開始しました。
別居後もお子さんは学校に通い続け、その結果、日本に定着性があると判断されでしょう。
次の更新の際は、夫との同居について聞かれる事はないものと思われます。これで安心して日本で生活が送れますね。
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